初めまして、まり子と申します。
新潟県に住んでいます。
職業は介護の仕事をしています。
皆さんも、私も含め、多くの人たちは、一人でありながらいろいろな側面を持っていますよね。
仕事のときの自分、一人のときの自分、恋人といるときの自分、どれか一つだけが重要なのではなくて、どれもが素敵であると思えたらいいなと、私は思っています。
そんな思いを込めて、私が失恋から心を癒した方法を紹介します。
4年間の交際を経て、婚約破棄で失恋に至りました。
私には7歳年上の彼がいました。
彼との交際も4年が過ぎ、私は彼にプロポーズをされました。
そして彼のご両親とも以前よりも親密に話をするようになったのですが、彼の母親からこんな話を持ち出されました。
「うちの子は、ずっと生命保険に入っているのだけれど、若い時に仕事の稼ぎも少なくて、失業したこともあったから、その間もずっと私が支払いをしていたの。だから、結婚して二人で独立して家庭を築くのはかまわないけれど、生命保険の受取人はうちのお父さんのままにしておいてね」
というのです。
彼に問いただすと、現在は生命保険は彼自身が支払いをしていますし、これからもそうなると言っていました。
私の身に何かあったら保険金の受取人はもちろん夫になる彼ですし、私たちの家計からそれはまかなわれます。
なのに、彼の身に何かあってもお金を受け取るのは彼の両親で、そのお金は私たちの家計からまかなわれるということなのです。
そんなことを言われて、この結婚を進めることができるのか、不安になりました。
彼にその不安を打ち明けると、仕方がないんだと言うばかりで、彼はとても無力感を感じているようでした。
結局、この結婚はあまりに不気味だから取りやめにするよう私の両親に言われ、婚約は破棄になりました。
私は彼が大好きでしたが、彼の育った環境であったり、家庭の事情に関しては、彼も私もお手上げでした。
彼も、最後まで私を慈しむ言葉を投げかけてくれました。
そして、ごめんね、ごめんねと言いつつも、別れよう…と言いました。
「まりちゃんの将来を考えたら、もう手を離したほうがいい」と。
私は、黙っていましたが、優しいけど、愛してるけど、ずるい人だなと思っていました。
美肌になること重視のダイエットを始めました。
失恋してしばらくは、ひたすら家に閉じこもっていました。
毎日が自宅と職場との往復で、その他にはどこにも行かず、休日もずっと家でぼんやりテレビを観たりして過ごしていました。
失恋当初、私は完全に腐っていました。投げやりになっていました。
けれど、何とかしたくて矢も楯もたまらなくなるまでは、じっくり待つと決めていたので、急いで元気になろうとは少しも思いませんでした。
そして、機が熟したのでしょう。
1か月が過ぎたころ、私は、ダイエットを始めました。
無理にダイエットモードに気持ちを持っていったというよりは、自然と、ダイエットがしたい!という強い思いに突き動かされるような感じでした。
だらだらしていた休日は、朝から、きちんとした朝食を並べました。自分のためだけに果物をきれいにカットして、野菜やタンパク質にも気を配りました。
日中にはウォーキングで汗を流し、暇になるとストレッチもしました。
体重を落とすことよりも、ダイエットをすればするほどお肌がピカピカになるにはどうしたらよいだろうかということをあれこれ調べては実行しました。
やつれるのではなくて、美しくなりたかったのです。
効果が出始めると、体にも心にも力がみなぎってくるのが感じられました。
もう一度、恋をしてもいいなぁ。
また恋愛ができるだろうなという自信がわいてきました。
足を使ってお買い物をしました。
失恋から立ち直る過程で私は、買い物をたくさんしました。
ただ、ネットショッピングよりも、実際にいろんなショップに足を運んで、目で見て手で触って、一つ一つ丁寧に買っていきました。
まず、パンプスを買いました。
子供の頃、どこかで聞いたセリフを思い出していたからです。
「新しい人生を始めるときは、最初に新しい靴を買わなくちゃ」
というものです。
一体、どこの誰のセリフなのかはわかりませんけれど、子供ながらにそれは名案だと思ったことを覚えています。
本当に気に入ったパンプスを見つけて、私は本当に新しい人生を歩むんだと、まだ小さな喜びでしたが、かみしめていました。
結婚を意識して交際をしていたので、この一年くらいは、彼も私もいろんなものを買い控えていました。
結婚資金にしようと思って二人で節約して、それぞれが貯金をしていました。
私はその貯金を使って、欲しかったものを買いました。
スカート、口紅、ブラウス、カットソー、インテリア…。
ときめくアイテムを見つけるために、街へ出ること自体が楽しくなってきて、鏡に映る自分が微笑んでいて、ホッとしました。
もちろん、美容室にも行きました。
ただ、感情の揺り戻しはまだあって、彼とのことを思い出しては、悔しいような、悲しいような、せつなくて…まだまだ情緒が不安定だなと感じないわけにはいきませんでした。
おひとり様のエキスパートになっちゃいました。
私は今まで彼と過ごした時間の多くを、一人で過ごすことにしました。
合コンのお誘いがあったり、お友達とお出かけをすることもありましたけれど、そういった用事で出かけた後には、
「あの時の私、空元気だったな。肩が凝っちゃったかも」
と妙に疲れている自分がいたからです。
家で過ごすときは、新しい趣味を開発しようと、あれこれ挑戦してみました。
クロススティッチ、ジグソーパズル、ルービックキューブ。
さらには写経にも挑戦しました。
子供の時にやっていたピアノもすごく久しぶりに再開しました。
ルービックキューブはテキストを見ながらやり方を覚えていき、ついには1分ちょっとで6面を完成させることができるようになりました。
プチ旅もおひとり様でしてみました。
日帰りで余裕をもって行ってこれる距離にある日本庭園を見に行ってきました。
お寺、神社にも足を運び、景色を眺めたり、心地の良い風に当たってみたりしました。
お城や、歴史資料館にも行きました。
気持ちが安らぐようなところを選んで行ったのは、とても良い選択だったと思います。
なぜなら私と同じように安らぎを求め、静かに歩くおひとり様の方たちと挨拶を交わしたり、歓談したりする機会にも恵まれたからです。
そうした穏やかな時間の中で、いろんな人の話が聞けました。
他人だからこそ、そして、こんな場所だからこそ、あまり人には言わないような個人的なことを静かにお話ししてくれたのかもしれません。
そして、人生が大変なのは、自分だけではないのだということに、改めて気づかされました。
そのことは本当に大切なことだから忘れないようにしようと思ったとき、私は自分が立ち直っていることに気が付きました。
失恋があったおかげで、良いことが巡ってきますから。
大切な用事を足すため乗るはずだった電車に乗り遅れてしまったとします。
がっかりと肩を落としていたら、その乗るはずだった電車が脱線事故を起こしてしまった。
あの時乗り遅れていたおかげで、今の私がこうしてここにいる。
例えば、こんな話だと分かりやすいですが、これは人生そのものだと私は思います。
すべてのことが、このようにつながっているのだと、思うのです。
悪いことがあったおかげで、今の良い状態がある。
遠回りしちゃったけど、もし遠回しりしていなかったら、私の力が及ばずに途中で投げ出してたどり着けなかったかもしれない。とか。
そんなことの連続だと思います。
失恋をしたおかげで、私はさらなる進化を遂げているのだと、自信を持っていいと思います。
失恋を経て、そこから私はより成熟した人間へと変化を遂げているのだと、自分自身を信じてあげたらいいと思います。